ヨーロッパ

レマーゲンの橋平和博物館(ドイツ)

(10年10月22日)

◆市文書担当 カート・クリーマン

 第1次世界大戦中、レマーゲンの町の近くで、ライン川を渡る鉄橋が建設された。当時の陸軍大将の名前を取った「ルーデンドルフ橋」がその正式名称である。

 1945年3月、進軍してきた米軍が橋を占拠した。ドイツ軍は橋を爆破しようとしたが失敗。ヒトラーは略式裁判を開き、5人の将校に死刑を宣告。うち4人をすぐさま銃殺した。

 その後もドイツ軍は潜水部隊なども繰り出して橋の破壊を試みたが、失敗を重ねる。しかし3月17日、突如として橋は崩落し、約30人の米兵が命を落とした。雑誌や新聞が取り上げ、橋はにわかに神話性を帯びた。戦後、小説になり、映画化もされた。

 1965年から1994年までレマーゲン市長を務めたハンス・ピーター・クルテン氏は、残った橋塔を平和の記念館にしようと不断の努力を続けた。懸案だった資金調達は1978年、橋の石の一部を証明書付きのペーパーウエートとして販売することで解決をみた。

 こうして1980年3月、橋塔内部に博物館が開館した。以来、これまでに65万人が来館している。2003年には展示を一新し、米軍が当時、この地に設けた戦争捕虜収容所に関するコーナーを加えた。

 「平和は個人から。日々われわれを平和に打ち込ませよ」。その理念のもと、来館者は戦争と平和について深く考える機会を得ることができる。


住所 Rheinpromenade Remagen,Bachstrasse2,53424 REMAGEN
電話 +49 2642 201 59
ホームページ http://www.bruecke-remagen.de/
開館日 3月7日〜11月15日
入館料 一般3.5ユーロ(約400円)、学生1ユーロ(約115円)、家族7ユーロ(約800円)

(2010年10月18日朝刊掲載)

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1945年3月7日米兵によるルーデンドルフ橋占拠を伝えるコーナー


寒さや雨から身を守るために戦争捕虜が掘った穴から出土した遺品のコーナー


平和についての考えを集めたコーナー


第二次世界大戦以後の全ての戦争を記し、平和、反戦を訴えたコーナー


現在平和博物館となっているルーデンドルフ橋の橋塔