(09年6月29日)
◆カトリック司祭 ヨセフ・シュタインクルナー
フランツ・イエーガーシュテッターは1907年5月、オーストリア北部のセント・ラドグンドで生まれた。38年にオーストリアを併合したナチスへの協力を拒否。ドイツ国防軍幹部の前で「国家社会主義のために闘うことになれば、自らの宗教的良心に背く」と述べた。この良心的兵役拒否で死刑を宣告され、43年8月9日に処刑された。
戦後、ナチス体制下でカトリック教徒が果たした役割を検証する中、彼の存在が知られるようになった。60年代に、米国の社会学者が初の本格的な伝記を米国で出版。70年代にはテレビや本で紹介されて反響を呼び、生誕地に巡礼者が訪れるようになった。
当館は、そのセント・ラドグンドにある彼と家族が住んだ農家を利用して93年に開館した。大半は当時のまま保存され、彼が手紙やエッセーを書いたテーブルや結婚指輪、修道会の祈祷(きとう)書など多くの身の回り品を展示し、写真で彼の生涯を紹介している。
今年もイエーガーシュテッターが処刑された8月9日午後4時に、地元の教会で慰霊祭を営む。「鎖につながれた手で書くのであっても、私の意志が鎖でつながれるよりずっとましだ」-。自らの死と引き換えにした彼の抵抗は、「NO(ノー)」と発言する重要性に気づかせ、世界をより平和にするよう人々を鼓舞する。
住所 St. Radegund 31 5121 Ostermiething AUSTRIA
電話 +43-6278-8219
ホームページ http://www.dioezese-linz.at/redaktion1/index.php?page_new=850
休館日 なし(予約すればいつでも開館)
入館料 無料(寄付歓迎)
(2009年6月22日朝刊掲載)
※写真はクリックすると大きくなります。
館内で展示しているフランツ・イエーガーシュテッターの遺品 | 記念館の外観 | 館内を見学する若者たち。平和学習に活用されている |