日本

佐喜真美術館(沖縄県宜野湾市)

(10年7月27日)

◆館長 佐喜真道夫

 佐喜真(さきま)美術館は、米軍普天間飛行場の一部を返還させた土地に建設し、「もの想(おも)う場」として1994年に開館した。以来、日本各地をはじめ、韓国や中国などアジア近隣諸国から多くの人々が訪れている。

 コレクションのテーマは「生と死」「苦悩と救済」「人間と戦争」で貫いている。常設展示の作品には、「原爆の図」で世界的に知られる丸木位里、俊夫妻が描いた「沖縄戦の図」(縦4メートル、横8.5メートル)がある。体験者の証言を基に、沖縄戦の実相を「民衆の記憶」として今に伝える。

 ほかにもケーテ・コルビッツやジョルジュ・ルオー、上野誠、草間弥生の作品や日本版画協会の作家、沖縄の作家の作品など約千点を収蔵している。コルビッツの収蔵作品数は国内で最も多い。

 企画展示は約2カ月ごとに入れ替えている。8月9日まで「ひろしま in OKINAWA 石内都展」を開催中。広島市の原爆資料館に保管されている被爆者の遺品を撮影した「美しい」作品は、人々の原爆に対するイメージを新たにするとともに、大きな反響を呼んでいる。

 修学旅行団体には、「沖縄戦の図」と、館に隣接する普天間基地について解説している。ここは沖縄戦の記憶と沖縄の現実が一瞬にしてつながる場。年間約4万人の修学旅行生が訪れている。

住所 沖縄県宜野湾市上原358
電話 098−893−5737
ホームページ http://sakima.jp
休館日 火曜
入館料 大人700円、中高生600円、小学生300円

(2010年7月19日朝刊掲載)

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美術館の外観。奥に隣接しているのが米軍普天間飛行場


美術館の屋上階段。6段と23段で構成している。沖縄戦の慰霊の日(6月23日)には最上段の四角い窓を日没の太陽が真っすぐ通り抜ける


美術館の庭。右は米軍普天間基地のフェンス


丸木位里・俊の描いた「沖縄戦の図」。地上戦である沖縄戦の体験者たちがモデルになって描かれた