'13/11/30
空き家撤去 補助利用が増
広島県世羅町が2011年度に始めた老朽住宅撤去費の補助制度が、徐々に浸透してきた。100万円を上限に費用の8割以内を補助。初年度は利用がなかったが、12年度は2件、本年度は既に町中心部の空き家4件が制度を使って撤去された。周辺住民は歓迎する一方、「個人の財産管理に町費を使うべきではない」との声もある。
制度は、空き家になった老朽住宅が倒壊などで近隣に被害を出したり、火災や犯罪につながったりするのを防ぐのが目的。町は基準に基づいて建物の状況を調べ、危険度なども考慮して認定するかどうかを決める。
町によると、建物の所有者が町外にいて連絡がつかず、長年放置されているケースも多いという。12年度は2件で計108万円、本年度はこれまでに4件で計322万円を補助した。
7月に撤去された同町本郷の建物は、約40年前から空き家。老朽化が進み、風雨で窓ガラスや屋根瓦の一部などが前の道路に落下したこともある。通学路でもあり、住民が町に対策を要望していた。
隣の写真店経営阿部玲子さん(78)は「危ないので建物の近くを通らないようにしていた。撤去されてほっとしている」と話す。
ただ、本来は所有者が全額を負担して撤去するのが原則。町総務課は「地域の住環境と安心安全を守るための措置。意図的に建物を放置するなど制度の悪質な利用がないようにチェックしたい」としている。
【写真説明】町の補助制度を使って老朽住宅が撤去された跡地