ニュースランキング

'13/11/30

オニバスの池 堤防を工事




 環境省のレッドデータブックで絶滅危惧II類に指定されているオニバスが大量発生した福山市神辺町のため池「道上新池」で、市の堤防工事が始まった。途中、池の水を抜くが、市神辺支所建設産業課は「オニバスの種子を泥ごと移動させる。自生地周辺に配慮して進めれば問題ない」としている。

 農業用水の確保のため、ため池西側に堤防と新しい取水設備を造る。来年3月完成の予定で、事業費は約2100万円。オニバスは泥と一緒にショベルカーですくい上げて、工事の影響がないよう数メートル移動させるという。

 オニバスは、種子から育つスイレン科の一年生植物。1980年代ごろまでは、全国の池や河川に自生していたが、コンクリート護岸の増加などで激減。広島県内では数年前から自生地が確認されていなかった。

 道上新池では今夏に大量発生し、10月に紫の花も咲いた。現地を調査した環境省の委託調査員で希少野生動植物種保存推進員の吉野由紀夫さん(62)=広島市東区=は「池の底で休眠していた種子が、何らかの影響で突然目覚めた可能性が高い」と推測する。

 かつてオニバスが自生していた同市千田町の千塚池で保護活動に取り組んだ会社員重政義則さん(60)は「工事の影響がどう出るのか注視している。追跡調査をし、地域で関心を持って保護に結び付けてほしい」と話している。

【写真説明】オニバスが自生する道上新池で始まった堤防工事




MenuTopBackNextLast