'13/11/29
草戸千軒遺跡発掘史を一冊に
福山市の広島県立歴史博物館が、同市草戸町の草戸千軒町遺跡の発掘調査の歴史についてまとめた記念誌「草戸千軒発掘調査五〇年の想い出」を出版した。芦田川の中州から現れた中世港町に、研究者が沸いた様子を伝えている。
B6判、125ページ。同遺跡は、鎌倉―室町時代の港町跡で、1961年に福山市教委が発掘調査を開始し、県教委が68年から94年まで調査を続けた。記念誌は2011年11月にあった調査開始50周年のセミナーや座談会の内容を収録した。
河川改修や河口堰(ぜき)の建設を早く進めたい建設省(現国土交通省)との折衝や、「洪水で消えた町」の定説を覆す、井戸や溝が人為的に埋め戻されていたという事実の判明など、研究者の苦難や感激をつづっている。
2千部を印刷。同博物館のミュージアムショップで700円で販売する。岡田圭史館長は「苦労して発掘した経験を次世代に継承したい。草戸千軒があった歴史に誇りを感じてほしい」と話している。電話084(931)2513。
【写真説明】草戸千軒町遺跡の発掘調査についてまとめた記念誌