アジア

ナヌムの家・日本軍「慰安婦」歴史館(韓国)

(08年7月13日)

◆研究員 村山一兵

 「何であんたのりんごが大きいの」「そっちの方が多いよ」-。お土産が届くと「ナヌムの家」のハルモニ(おばあさん)たちは山分けの時間だ。均等に分けないと後が大変。80歳を超えたハルモニたちは子どものように怒っては笑い、涙を流す。

 日本軍による性暴力の被害を受けた女性が共同生活する「ナヌムの家」。1992年にソウル市内で仏教団体の支援を基に活動を広げた。95年、京畿道広州市に移転し、社会福祉法人として運営している。

 今年に入り、2人が他界、現在7人が共同で暮らす。最高齢の朴玉蓮(パクオンリョン)さん(90)はだまされてパプワニューギニアへ連行された。裵春姫(ペチュンヒ)さん(85)は約30年間日本で暮らし、金順玉(キムスノック)さん(87)は、故郷の平壌を9歳で離れたままだ。

 98年に併設した歴史館はハルモニたちとともにある。年間来館者数は5000人余り。半数が日本から訪れる市民団体の平和研修や修学旅行生などさまざまだ。

 館内と屋外には6つの展示場を設置。日本当局の公文書や軍隊関係資料などを展示し、日本軍の「慰安婦」制度を説明したり、ハルモニが描いた絵画作品や遺品を展示している。「慰安所」の模型や被害女性の肖像、証言などから、被害の実態がより把握できる。

 歴史館は、ハルモニが生きた道のりと思いを伝える空間だ。「慰安婦」という性暴力被害をたくさんの人に知らせる使命を担っている。

住所 大韓民国 京畿道 広州市 退村面 元堂里65
電話 +82-(0)31-768-0064
ホームページ http://www.nanum.org
休館日 毎週月曜と水曜
入館料 一般(含大学生)ビデオ・歴史館見学 5000ウォン(約520円)、歴史館見学のみ 3000ウォン
          小中高生 3000ウォン、65歳以上・身体障害者は無料、団体割引有り

(2008年7月7日朝刊掲載)

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沖縄で「慰安婦」被害にあった故裵奉奇(ペポンギ)さんについて、説明を受ける日韓の若者たち(2008年2月4日)


歴史館2階に展示されているハルモニたちの絵画作品。絵画教室でハルモニたちは絵を学び被害を伝えてきた(2008年2月4日)


日本からの訪問者に被害を証言する李玉善さん(82歳)。中国延吉で「慰安婦」被害に遭い祖国に58年ぶりに帰国した(2008年2月4日)