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'13/11/28

78年前の除幕式 映像現存




 広島県出身者で初の首相になった加藤友三郎氏(1861~1923年)の銅像が除幕された78年前の式典の映像を、東京都の子孫が保管していた。軍縮を進めた加藤氏の銅像は戦時中に金属供出され、5年前に再び建立された。映像には、かつての銅像や山高帽姿で集まった市民の熱気などが収められている。

 加藤氏は1922~23年に首相を務めた。銅像は35年、地元企業などでつくった建設会が募金を集め、広島市南区の比治山公園に建立した。

 映像は白黒の16ミリフィルムで8分間にわたる。山高帽にスーツや着物姿の男性が会場を埋め、その前を蛇の目傘をさした和装の女性が進む。加藤氏の人気の高さとともに当時の風俗がうかがえる。

 映像の中の銅像は高さ約4メートル。海軍大将を務め、没後に元帥になった加藤氏が軍刀に手を掛けて立つ。一方、2008年に中区の中央公園に再び建てられた銅像は、1921年に首席全権としてワシントン海軍軍縮会議に臨んだ際のフロックコート姿を再現。功績に向けた市民のまなざしの変遷が読み取れる。

 フィルムは、玄孫(やしゃご)の会社員加藤健太郎さん(41)が、自宅の美術品を整理していて見つけた。健太郎さんは「盛大な式典を見て驚いた。広島の人の郷土愛が伝わる」と話す。

 没後90年を迎えることし、新しい銅像を建てた広島市のNPO法人加藤友三郎顕彰会は、映像をDVDにして会員に配る。田辺良平副理事長は「服装や髪形など、当時の様子がよく分かり貴重」と話している。

【写真説明】映像に収められた1935年の除幕式会場。熱気に包まれた様子がうかがえる

【写真説明】<左>2008年完成の現在の銅像<右>1935年完成の銅像




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