(08年12月 9日)
◆センター職員 シャーロット・パック
米国オハイオ州にあるウィルミントン大平和資料センターは、被爆30年にあたる1975年8月にオープンした。設立者はクエーカー教徒の平和活動家バーバラ・レイノルズ女史(1915-90年)である。
バーバラさんは、日本が米国占領下の51年、原爆傷害調査委員会(ABCC)の研究員だった夫と広島へ移り住んだ。原爆の惨状に触れるうち「二度とこのような惨禍が繰り返されてはならない」と思うようになり、58年には太平洋の立ち入り禁止海域に夫とヨットを乗り入れ水爆実験に抗議。その後も被爆者とともに世界各地への平和行脚を繰り返し、65年にワールド・フレンドシップ・センターを創設して広島を訪れる人たちに核と平和について学ぶ機会を提供した。
69年に帰国、大学の協力を得て構内に開設したのが「ヒロシマ・ナガサキ記念コレクション」を持つこのセンターである。
センターには原爆調査資料、平和教育図書室、問題解決研究所などがある。研究所は、ピア・メディエーション(仲間による調停)のグループ研修や、「積極的なしつけ」の手法を用いた教師の研修をしている。さらに「信頼プロジェクト」により、小中学校の生徒間にできる派閥をなくす働きかけをしている。
コレクションは、原爆の開発や投下による医学的影響などを含む40年代から80年代にかけてのさまざまな資料、写真、音声記録、フィルムなどで、ヒロシマとナガサキに関する世界有数の資料センターとなっている。
住所 1870 Quaker Way, Pyle Center Box 1183 U.S.A.
Wilmington OH 45177
電話 +1-937-382-6661
ホームページ http://www.wilmington.edu/the-wilmington-difference/prc/
休館日 12月25日-1月1日
入館料 無料
(2008年12月1日朝刊掲載)
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今年の8月6日に、企画展「希望の物語」を見るため、センターに集まってきた人たち | 平和資料センターがオープンした当日のバーバラ・レイノルズさん。この日、「30年後会議」も開催された | 「希望の物語」の展示 |