(08年11月27日)
◆理事長 ティモシー・ガッシャンガ
1990年代に入り、ケニアやソマリア、ルワンダ、ブルンジなど東アフリカ一帯で部族紛争や大量虐殺が多発した。複数の部族が共生してきた東アフリカでは、どう和解や平和が築かれたのか-。地域に伝わる慣習を調査し、広めるため「地域平和博物館」の開設を目指したプロジェクトが始動した。
1994年から8年かけて、現地調査や長老の話を聞くなどして資料を収集。現在、ケニア国内に点在する10の「地域平和博物館」を運営している。主な目的は「家族や地域、自然を敬い、きずなを深める大切さ」を説く伝統的な価値観「ウツ」を広めることだ。
アフリカの人には、歴史のために物を収集するという慣習はない。しかし、地域の人々が集まり、和解、回復、祝福を求める儀式や聖なる空間、平和の木々などがある。このため博物館では、各部族が紛争解決や和解の儀式で使う工芸品や写真などを展示している。
首都ナイロビの北東に位置し、ケニア山にある「エンブ平和博物館」では部族間の和解調停中に、長老が飲む「平和はちみつビール」を入れておく器や、儀式用のスカートを紹介。小学校で平和教育を開いたり、先祖が守った聖なる森の保存にも取り組む。
失われつつあるアフリカの平和構築の伝統を紹介し、平和を維持する大切さを多くの人に伝え、東アフリカにはびこる紛争解決に役立ちたい。
住所 P.O. Box 66960, 00200, Nairobi, Kenya
電話 +254-(0)720-442284
休館日 日曜、祝日
入館料 各館20ドル(約1900円)
(2008年11月17日朝刊掲載)
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キクユ族の「平和の道具」を展示している、ナイロビ郊外の地域平和博物館。青いビーズはマサイ族との調停に使う | ラリ記念平和博物館に展示されている写真 | カンバ平和博物館の外観 |
カンバ平和博物館の館内の様子 |