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「幻の校歌」を披露 60年ぶり 旧制市立中の慰霊祭 '06/8/7

 建物疎開に動員された生徒三百人以上が被爆死した旧制広島市立中(現基町高)慰霊祭で、被爆後の混乱などで途絶えていた旧校歌が、約六十年ぶりに披露された。同窓生や遺族、生徒ら約三百八十人がよみがえった歌声を聴いた。

 中区小網町の慰霊碑前であり、基町高の合唱部や器楽部の生徒たちが「世紀の夜明け あかあかと 行く手を照らす」などと未来への願いが込められた旧校歌を歌い上げた。

 旧校歌は一九四二年に開校した同校で歌われた。戦時中、音楽の授業は米軍爆撃機の音を聞いて機種を見分ける訓練に充てられるなど歌う機会が少なかった上、原爆による被害も重なり、歌詞や旋律が分からなくなっていたという。

 四七年発行の学校新聞に、歌詞が記録されていたことが判明。昨年夏、OBの石田晟さん(74)=廿日市市対厳山=が記憶を頼りに歌った旋律を、基町高の音楽教員らが楽譜に起こした。

 石田さんは「校歌を歌う練習時間もなく死んでいった仲間たちも、さぞ歌いたかっただろう」とこみ上げる思いを語った。(永井友浩)


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