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禎子さんの思い折る 級友の川野さん '06/8/7

 被爆の十年後に白血病のため十二歳で亡くなった佐々木禎子さんの級友、川野登美子さん(64)=広島市中区=が六日、小学生の孫二人と、平和記念公園にある「原爆の子の像」に折り鶴をささげた。「命の大切さをかみしめて」。生きる願いを込めて鶴を折った亡き友の思いを、孫たちに託した。

 午前七時半、川野さんと夫の哲生さん(71)、孫で吉島東小(中区)の六年渕上美憂さん(11)、三年川野星花さん(9)は像に手を合わせた。木陰に座り鶴を折る。「サダちゃんの話を思い出して折ってね。生きたくて、中学に行きたくて、かなわなかったのよ」と川野さん。出来上がった四羽を像の下の碑に置き、再び手を合わせた。

 川野さんは三歳のとき牛田町(東区)の疎開先で被爆。幟町小(中区)の二〜六年で禎子さんと同じ組だった。死後、像の建立を級友たちと最初に呼び掛けた。

 被爆五十年からは、禎子さんとの思い出を修学旅行生らに話し始めた。以来、八人いる孫が小学生の年齢になると順番に連れてくるようになった。「自然に話せば、子どもは素直に受け止めてくれる」。生あるうちは「伝える責任」を果たし続けるつもりだ。(岡田浩平)

【写真説明】原爆の子の像に、金色の折り鶴をささげる川野さん(中)。「お参り」を通じて孫の星花さん(左)、美憂さん(右)に命の大切さを伝える(撮影・荒木肇)


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