広島への原爆投下から六十一年になる六日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕した第八十八回全国高校野球選手権大会でも祈りの輪が広がった。
原爆投下時刻の午前八時十五分。広島県代表の如水館の選手十八人は、開会式待機場所の室内練習場で広島の方角を向き、一分間黙とうした。周囲の学校の数人も目を閉じた。
「広島県代表として黙とうしようと、自分たちで決めました」と柚木淳主将。自らも被爆者で原爆で弟を亡くしている迫田穆成(よしあき)監督は「遺族は静かに祈りたい。よそへ問い掛けてまでという感覚はない。選手が大人になった時、この経験を子どもらに伝えてくれるでしょう」と話した。
島根県代表の開星、太田翔平主将も正座して祈った。「僕も広島県人(竹原市)なので。厳粛な気持ちになりました」と振り返った。
昨年は広島県代表の高陽東が全出場校での黙とうを計画したが、主催者側の連絡ミスで、一校だけで黙とうしていた。(森下敬)
【写真説明】開会式を前に、原爆投下時間の8時15分に黙とうする如水館ナイン(代表撮影)
|