争いのない未来へ―。平和記念式典で、こども代表の小学生が「平和への誓い」を読み上げたり、平和の鐘をついたりし、戦争のない、平和な世界の実現を高らかに誓った。
「平和への誓い」を唱えたのは、南観音小6年新谷望君(12)=中区=と楽々園小6年スミス・アンジェリアさん(12)=佐伯区。互いに心を開いて対話を重ねれば、争いは起きない―。そんなメッセージを投げ掛けた。
新谷君の祖母(74)は被爆者。体験を多くは語ってくれないし、原爆資料館を一度も訪れたことがない。「ぼくから聞けない。つらくて悲しい記憶なんだと思う」。大役が決まり、祖母は「生きる励みになった」と言ってくれた。うれしかった。
スミスさんは、日米両国籍を持つ。「世界中の国々や人々との間の架け橋となる」と誓った。「見てるからね、がんばって」。友達からの言葉に力をもらった。「人と仲良くすること、思いやること。平和のためにできることを探していきたい」。式典を終えて、笑みがこぼれた。
午前8時15分。こども代表の青崎小6年三登百合子さん(11)=南区=は、遺族代表の米倉正明さん(46)=中区=と平和の鐘をついた。
「亡くなった方のことを思いながら鐘をつきました」と三登さん。被爆者の祖母(72)から助言をもらったという。「世界の人たちに、この音が届いてほしい」と願う。
米倉さんは、祖父と父が被爆者。祖父は被爆から9年後の8月6日に亡くなった。式典に参列したのは子どものころ以来。「核兵器をなくすというテーマは重すぎると感じていたが、あらためて新鮮な気持ちで平和を考えるいい機会になりました」とすがすがしい表情だった。(木ノ元陽子、寿山晴彦)
【写真説明】(上)「平和の音色、世界に響け」―。願いを込めて平和の鐘をつく、三登さん(左)と米倉さん(撮影・田中慎二) (下)一つ一つの言葉に、被爆者たちの思いをのせて「平和への誓い」を読み上げるスミスさん(左)と新谷君
|