▽来春めど 39人分継承 販売も
東広島市原爆被害者の会と市原爆被爆資料保存推進協議会は、被爆四十周年を機に製作した被爆証言テープを永久保存するため、DVDに収録する作業を進めている。来年三月にも完成させ、全国の図書館などに被爆者の肉声を届ける。(治徳貴子)
テープには被爆当時三〜五十一歳だった四十五人の体験談が収録され、「三、四十人の死体を山のように積み重ね上げて焼いた」「いとこの家族は六人とも死んだ。戦争をしてはいけない」など惨状や平和への思いが語られている。
テープは同市八本松南の福祉センター「松翠苑」に保管しているが、利用がほとんどなかった。被害者の会の高山等会長(76)は「DVDとして残し、後世に語り継ごう」と今春、近所の無職吉久清春さん(67)に相談。吉久さんと、仕事仲間だった無職東秀次さん(64)がボランティアでDVD化を引き受けた。
DVDには本人や家族から了解の取れた三十九人分の証言を収録し、約千枚制作する。冊子も作製し直し、セットにして全国の図書館や平和団体に送付するほか、広島市中区の原爆資料館での販売も検討する。
高山会長は「被爆者が高齢化する中で、体験の継承が難しくなっている。貴重な声を保存し、広く伝えていきたい」と話している。
【写真説明】カセットテープのDVD化に取り組む左から東さん、高山会長、吉久さん
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