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平和願い母への鎮魂歌 西区の西さん、6日に演奏 '06/8/4

 母を原爆で失った広島市西区の主婦西敦子さん(70)が六日夜、県内外の音楽家や愛好家たちと中区の空鞘橋のたもとでモーツァルト作「レクイエム」を響かせる。世界でやまない戦火、親を奪われた子の姿が自分と重なる。愛する人を失う悲しみを知る者として、平和を祈る鎮魂歌を歌いたい―。今年も河岸に立つ。

 「広島メサイア・レクイエム合唱団/オーケストラ」のメンバー。本川の左岸緑地帯で午後七時半から一時間、九十人の仲間と演奏。水を求め亡くなった人々をしのび、戦争で身近な人を失った苦しみに思いをはせる。

 母は建物疎開の作業前の点呼中に被爆死した。「誕生日に、お米と換えてまで三角定規と筆入れを手に入れて疎開先にいた私に贈ってくれた優しい人でした」。仕事で山口県にいた父は翌日から母を捜し回った。被爆の影響か体調不良に苦しみながら働き、育ててくれた。就職を見届けて他界。二十三歳で独りぼっちになった。

 広島女学院大の高橋信雄教授(62)の呼び掛けで五年前に楽団の結成を手伝った。地雷除去やアフガンの子ども支援のために慈善音楽会を開き、まとめ役を務める。楽団は三年前から八月六日にレクイエムを演奏、毎年参加している。

 「戦争で愛する人を失う悲しさを伝えなくては平和は訪れない」と西さん。多くの人に遺影を持ち寄ってほしいと呼び掛ける。鎮魂歌を通して思いを共有できる場にしたいと願っているからだ。(梨本嘉也)

【写真説明】本番を前に、練習に臨む西さん


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