日本原水協系の原水爆禁止二〇〇六年世界大会は二日、広島市中区の広島厚生年金会館での国際会議で幕を開けた。二十一カ国七十人の海外代表を含め、約二百八十人が参加。昨年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂を乗り越え、核兵器廃絶に向けた連携強化を申し合わせた。
主催者を代表し、沢田昭二名古屋大名誉教授が「平和で公正な世界をつくるため、被爆体験と憲法九条を持つ日本の責任は重大だ」とあいさつ。四日に広島地裁で判決が出る原爆症認定の集団訴訟にも触れ、「核兵器使用の非人間性を糾弾する闘いだ」と強調した。
海外の政府代表からは、NPT再検討会議の決裂を悔やむ声が相次いだ。メキシコ外務省国連局長のウリセス・カンチョーラ氏は「NPTの再活性化と、軍縮問題を扱う多国間機構に新たな弾みをつける努力が必要だ」と指摘。エジプト外務省政務次官補のイハブ・ファウジー氏は「軍縮が、NPTの重要な要素であることを核保有国に再確認させなければならない」と力を込めた。
ノルウェーや中国の平和運動家は、核兵器禁止の国際条約の必要性を表明した。原水協の高草木博事務局長は「核やミサイルをカードとする時代錯誤の外交には断固反対」と強調。九月の国連総会などで、核兵器全面禁止に向けた交渉を求める決議採択を呼び掛けるとともに、国際的な署名運動を強化する考えを示した。(金刺大五)
【写真説明】核兵器廃絶への道筋を討論した原水協系の原水禁世界大会国際会議
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