広島市内の被爆樹木をテーマにした西区己斐中の写真家木村早苗さん（３１）の作品展が中区の旧日本銀行広島支店で開かれている。六日まで。

　平和記念公園のアオギリや幟町中にあるエノキ、広島城のユーカリなどのモノクロ写真三十枚を展示する。中には、幹に大きな空洞のできたプラタナスなど、原爆の傷跡を今に残す木も多い。

　木村さんは昨年十月、被爆地広島に被写体を求め、東京から転居した。春までに約百本を巡って千二百枚を撮った。色の要素を排除することで、よりメッセージを強く伝えることができるという。傷を残した木や、そばにある高層マンションとの対照を織りなす樹木などを選んで展示した。

　夫婦で訪れた安佐南区東原の主婦後藤芳子さん（５０）は「原爆の悲惨さと同時に、生命が持つ力強さが伝わってきた」と話していた。（教蓮孝匡）

【写真説明】原爆の傷跡を残す被爆樹木のモノクロ写真に見入る来場者