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「核の奴隷」か自由かの岐路 広島平和宣言骨子 '06/8/3

 広島市の秋葉忠利市長は二日、六日の原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)で読み上げる「平和宣言」の骨子を発表した。国際司法裁判所(ICJ)が「核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法違反」との勧告的意見を出して十年になるのを踏まえ、核兵器廃絶に向けた新たな取り組みを始める決意を表明する。

 秋葉市長は、核兵器保有国や核保有の意思を示す国が増えている世界情勢について、勧告的意見にうたわれた「核軍縮につながる交渉を誠実に行い、完了させる義務」を多数の国が真正面から受け止めなかったためと分析。「すべての国が核兵器の奴隷になるか、自由になるかの岐路に立たされている」と現状への危機感を示す。

 一方、「ほかの誰にもこんな思いをさせたくない」という被爆者の思想は普遍的なメッセージとなり、世界の市民の間に広がるなど明るい兆しもみられると強調。事態を打開するための鍵は市民、都市の連携にあると訴える。

 具体的な行動として、自身が会長を務める平和市長会議とともに、核保有国に対して(1)核軍縮に向けた誠実な交渉義務を果たすよう促すキャンペーン(2)都市を核攻撃の目標にしないよう求めるプロジェクト―を展開する。こうした取り組みを通じて二〇二〇年までの核兵器廃絶を目指す。

 政府には、平和憲法の順守を求めるとともに、核保有国に軍縮を働きかけるよう要請する。高齢化が進む被爆者については、在外被爆者への支援など、引き続き「温かい援護策」の充実を求めていく。(林仁志)


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