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   その4 ひぐらし屋 
 
 
    さいきんのぼくは、どんぐり横丁でよく買いものをする。ぼくだけじゃない。ぼくのかよう駅家小学校では今、どんぐり横丁が、ちょっとしたブームだ。
  「ひぐらし屋」は、こっとう品店だ。これ、本当に売れるのぉ? というようなものであふれている。なんだかうすよごれたひな人形、つぼやかけじく、いったいだれが買うんだろう?
  そんなひぐらし屋で、へんなものを見つけた。『カッパの皿』と書いた白いカミのはりついた、白いお皿だ。なんだか気になってしかたがない。ぼくはお皿を手にとると、お店の中にはいった。
  「おおーっ、ええものに、気づいたなぁ」
  ステテコすがたのひぐらし屋のおじいちゃんが、ニターッとわらってこう言った。
  「それは、カッパの皿、なんがおきるかは、買うてからの、おたのしみ」
  きっとスゴイお皿にちがいない。ぼくはまよわず、お皿を買った。
  駅家公園で、マサルにあった。マサルは大事そうに、カミぶくろをかかえている。ん? そのカミぶくろ、ぼくのとおんなじ。「す
っげぇだろう。これ、りゅうのヒゲだぜ」
  マサルはふくろの中から、フニャリとおれまがった、黒いハリガネみたいなものをとりだした。なんだか、イヤーなよかん。ぼくはいそいで、ひぐらし屋にひきかえした。すると。ん?
  さっきカッパの皿がおいてあったところに、こんどはまるくてほそながい、グレーの石みたいなものがおいてあった。『おにの角』そうカミにかいてある。
  アチャー、やられた!
  店の中ではおじいちゃんが、Vサインをして、わらっていた。
  カッパの皿は、ぼくのトースト皿になった。朝、トーストをのせようとすると、かならずお皿の上に、きゅうりがまるごと一本、のっているのは、なぜ?
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