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作家・中沢啓治さん、母校本川小で語る '06/8/6

 ▽61年前再現、次代に継承

 漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(67)=埼玉県所沢市=が五日、母校の広島市中区の本川小で被爆体験を後輩たちに話した。「感性の鋭い子どもたちは素直に受け止めてくれる」と被爆時の様子をリアルに証言。戦争反対を発信できる強い気持ちを持ってほしいとの思いを後輩に託した。(岡田浩平)

 体育館で全校児童三百十一人と保護者たちに語りかけた。爆心地から一・三キロの舟入本町(中区)で生まれ育った中沢さんは当時通っていた神崎国民学校の校門前で同級生の母親に呼び止められて話している時に被爆、壁の下敷きになった。その時の様子を「外輪が赤とオレンジの火の玉をみた」と表現した。

 「むけた皮膚が地面にこすれるので、みんな手を前に出して幽霊のように歩いていた」。母は助かったものの、亡くなった父と姉、弟をがれきの下から掘り出す際、「弟の頭蓋(ずがい)骨を持った瞬間が忘れられない」。

 約三十分間、言葉で体験を描きおこし、最後に「核兵器をなくさないといけない。偉い政治家や学者が戦争をすると言ってもみなさんは絶対に反対して」と呼び掛けた。

 五年の天野寛世君(11)は「勉強ができるのは幸せという言葉が印象に残った」。四年の村本梓さん(9)は「もっと平和について考えたい」と大先輩の言葉にこたえた。

 中沢さんは三年生の時に本川小に転入して卒業した。今回、同小から平和学習の講師を依頼されて引き受けた。

【写真説明】「世界の人と仲良く暮らす世の中をつくろう」と母校の後輩に語りかける中沢さん


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