原告四十一人全員を原爆症と認めた広島地裁判決を受け、広島訴訟の原告川上誠さん(74)=東京都板橋区=と東京訴訟の原告団や弁護団、支援者ら約六十人は四日夕、東京・霞が関の厚生労働省前に陣取り、国に控訴断念を訴えた。
マイクを握った川上さんは「被爆の長い苦しみが結実したが、まだ終わったわけではない。控訴を断念させるとともに、各地の裁判で勝てるよう支援をお願いしたい」と声を張り上げた。
参加者は「国は控訴をするな」「被爆者の声を聞け」とシュプレヒコールを連呼。東京原告団団長の山本英典さん(73)は「広島の勝訴で、流れが一層勢いづいた。強力な反証もなく裁判を続けるのは非人道的だ」と批判し、認定基準の抜本的な見直しを求めた。
東京訴訟の原告団や弁護団は、近くの弁護士会館で会見を開いた。弁護団長の高見沢昭治弁護士は、年内に予想される東京訴訟の判決に「大きな影響を与える」と力を込めた。(山中和久、漆原毅)
【写真説明】原告勝訴を受け、厚生労働省前で国の控訴断念を訴える東京訴訟原告団の川上さん(中)ら
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