▽広島市母子福祉連合会が再現
原爆で黒焦げになる前の弁当を食べて当時を追体験して―。広島市中区の原爆資料館東館で売店を営む市母子寡婦福祉連合会が、被爆死した少年の遺品として資料館に展示されている弁当を再現し、販売を始めた。
持ち主だった県立広島第二中(現観音高)一年折免滋君=当時(13)=は建物疎開の作業中に中島新町(現在の中区中島町)で被爆。捜しに来た母親のシゲコさん(故人)が、真っ黒に焼けた弁当箱を抱えた遺体を見つけた。
同会はシゲコさんが生前に残した証言などを基に当時の味を再現。米と押し麦、大豆のまぜご飯と、ジャガイモと切り干し大根の油いためを容器に盛り、「しげるちゃん弁当」と名付けた。
製造は西区の弁当メーカー千鳥に依頼。七月下旬から約百六十食の注文を受けた。同連合会売店担当の川崎知子さんは「六十一年前のあの日に思いをはせるきっかけになれば」と願いをこめている。
一食三百円で事前の予約が必要。六日午前八時半から、百食限定で店頭販売する。東館売店Tel082(541)0306。(小川満久)
【写真説明】上=原爆で黒こげになった弁当の中身を再現した「しげるちゃん弁当」(原爆資料館提供) 下=原爆で黒焦げになった折免滋君の弁当(原爆資料館提供)
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