関連ニュース
千羽鶴が運ぶ愛・平和 愛知博で故松重さん、訴え '06/8/2

 愛知県で昨年開かれた愛知万博(愛・地球博)会場で来場者やスタッフが折った千羽鶴が一日、広島市中区の平和記念公園に手向けられた。人々の心を動かしたのは、会場で上映されたある人物のメッセージビデオだった。(木ノ元陽子)

 発信者は被爆直後の広島を撮影した元中国新聞社カメラマン、故松重美人さん。昨年一月、九十二歳で亡くなった。収録はその一カ月前。万博の「地球を愛する100人」に選ばれ、平和メッセージを残した。病床から起き上がり、声を絞り出して語りかける松重さん。「生命あるものすべてが円満に生きていける、本当の世界平和が望ましい。もう、それだけですよ」―。毅然(きぜん)としたメッセージを聞いた来場者たちが、その場で鶴を折った。

 松重さんの手記「涙のファインダー」を編集した小学校教諭柏原知子さん(56)=東区=が、万博スタッフから折り鶴を託された。友人の協力で糸を通して束ね、平和記念公園に手向けた。

 鶴には「共生」「仲良し」「愛」など平和のキーワードを書き添えたものもあった。柏原さんは「原爆を記録し、世界に平和の尊さを伝えた松重さん。私たちがしっかり受け継いでいかなければ」と言葉を強めた。

【写真説明】平和を願う松重さんのメッセージを胸に、千羽鶴を手向ける柏原さん


MenuTopBackNextLast