公園内の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館では、広島、長崎の被爆者の肉声で「あの日」を振り返る追悼試聴会「ヒロシマ ナガサキ 私たちは忘れない」があった。
元長崎放送記者の伊藤明彦さん(69)=東京都調布市=が一九六〇―七〇年代に、全国を歩いて千八百四十人の被爆証言を収集。その中から三百八十一話を収めたCDを、原爆投下前日の証言から順に視聴した。
「必死に父の名を呼んだが、返事がなかった」「二目とは見られんような顔つきじゃった」など、家族や隣人の命を救えなかった悔しさや原爆への怒りがにじむ肉声の証言に、約十人の来場者がじっと聞き入った。
CDは一月に完成、試聴会は広島市で初めて。伊藤さんも訪れ「試聴会を通じて追悼慰霊の時間をつくりたい」とあいさつした。証言に協力した被爆者も訪れ再会する場面も。その一人、西区の主婦森本英子さん(77)は「私の若いころの声が平和の実現に役立ってくれれば」と話していた。(山本洋子)
【写真説明】試聴会の会場で、CD制作に込めた思いなどを語る伊藤さん
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