8月6日の原爆の日を前に、広島市佐伯区の藤の木公民館で22日、地元の夫妻が被爆体験を初めて証言し、平和の尊さを訴えた。中区の平和記念公園では、ボランティアが「平和の池」を清掃した。(川崎崇史、馬場洋太)
▽「この世の地獄」 被爆体験を初証言
藤の木公民館など主催の「平和のつどい」で証言したのは、近くの無職岡田能則さん(78)と妻ヒサエさん(77)。能則さんは焼けただれた無数の遺体を市内で目の当たりにした体験を、ヒサエさんは西区楠木町の自宅で被爆した状況を紹介した。
二人は「この世の地獄」と振り返り、「家族や隣人を大切にする気持ちを広げ、平和を実現してほしい」と集まった約百人に訴えた。
会場では、平和コンサートや原爆映画「おこりじぞう」の上映、被爆者が描いた絵の展示などもあった。
▽「平和の池」を清掃 親子連れら80人が汗
平和の池の清掃には、親子連れら約八十人が参加した。長さ七十メートル、幅十七メートルのタイル張りの池をブラシで磨き、泥やコケで濁った水を洗い流した。市消防局の消防車が放水し、約三百五十トンの澄んだ水で池を満たした。
清掃は、平和の灯奉讃会(藤田一憲会長)の呼び掛けで一九六四年から原爆の日前と年末に実施している。初参加した県立西高一年鶴丸祐さん(15)=東区=は「水を求めて亡くなった被爆者を思いながら磨きました」と汗をぬぐっていた。
【写真説明】 <上>平和のつどいの参加者を前に初めて被爆体験を語る岡田さん夫妻
<下>はだしで池に入り、清掃作業に打ち込むボランティア
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