▽国際法違反 謝罪・賠償「勧告」も
広島市中区の原爆資料館で開かれていた、原爆投下の違法性を問う「国際民衆法廷」は十六日、原爆開発や投下に関与した米国のルーズベルト、トルーマン両元大統領や元軍人、科学者ら十五人の「被告」を、国際法違反で「有罪」とする判決要旨を発表し、二日間の日程を終えた。米政府に対し、被爆者や遺族への謝罪と賠償を求める「勧告」も盛り込んだ。
約二百五十人が傍聴。日韓の弁護士五人でつくる「検事団」が十五日に朗読した起訴状に関して、近現代史研究者らが証言し、日本、米国、コスタリカの国際法学者三人で構成する「判事団」が合議した。
判事団は、毒ガスや細菌兵器の使用を禁じたジュネーブ議定書(一九二五年)や、「人道に対する罪」を規定した極東国際軍事裁判所条例(四六年)を根拠に違法性を認定した。
代表して、米ラトガーズ大のレノックス・ハインズ教授(国際法)は「原爆投下は非戦闘員への大規模攻撃。被爆者は今も放射線被害に苦しんでおり、被告の罪は重い」と指摘した。
当時の政府首脳らと並んで被告と位置づけた米政府への「勧告」は五項目。被爆者への謝罪と賠償に加え、原爆投下が国際法違反であると認める▽核兵器を使用しない▽核兵器廃絶に努力する▽核兵器の違法性を米国民に教育する―ことを求めた。
判決に法的拘束力はないが、被爆者や研究者らでつくる実行委員会は、年内にも文書化し、米政府や国際司法裁判所などに送る。(石川昌義)
【写真説明】「判決要旨」を発表するハインズ教授(左)たち
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