広島市の秋葉忠利市長は十四日、「核兵器の威嚇・使用は一般的に国際法違反」との勧告的意見を国際司法裁判所(ICJ)が出して十周年の記念会議などに出席した欧州訪問(一〜九日)について帰国報告した。ICJが一番尊重したのは「世界の市民レベルの率直な思いだったとあらためて感じた」と振り返り、市民や都市の役割の重要性を強調した。
秋葉市長は訪問中、核兵器廃絶に向けた国際世論を高めるため、新たな行動を提起した。核兵器保有国に核攻撃の即時解除を迫る「都市を攻撃するなプロジェクト(仮称)」を各都市と推進。核軍縮実現を促す勧告的意見の重要性を再認識し、「誠実な交渉」をするよう核保有国に呼び掛ける新たなキャンペーンを展開する。
核を保有する英国と、オランダ、ベルギーの三カ国を訪問し、外務省や北大西洋条約機構(NATO)本部、各市長などと意見を交換。勧告的意見十周年記念の会議などにも出て協力を訴えた。
秋葉市長は記者会見で、自ら会長を務める平和市長会議の加盟都市と今後も連携し、「核兵器廃絶に向けて、新たな方向性や具体的動きをつくる出発点の年にしたい」と意欲を示した。
また、八月六日に開く「被爆者代表から要望を聞く会」への小泉純一郎首相の出席要望が被爆者団体で高まっている点について「有終の美を飾るため、被爆者の思いをぜひ聞いてほしい。機会があればお願いする」と述べた。(宮崎智三)
|