▽東京で展示会
約二十年間にわたって原爆ドームを描き続けている入市被爆者の原広司さん(74)=広島市安芸区=が、東京都港区のギャラリーで十五日から開かれる原爆をテーマにした展示会「集積と痕跡の彼方(かなた)から」に出展する。
フリーカメラマンの会田法行さん(34)=港区=が撮った被爆者の写真との合同展。会場となるGALLERY MoMoを営む杉田鉄男さん(59)らが企画し、二人に作品出展を依頼した。
原さんは、原爆投下直後に多くの被爆者が飛び込んだ元安川の水で絵の具をとき、色紙千七百六十六枚に描いた。そのうち、展示会に出すのは約八百枚。一部を額に入れて披露し、残りは会場に積み上げる。平和を願いながら同じ被写体を描き続ける原さんの思いの深さを表現する。
「残骸(ざんがい)になったドームは、核兵器が人類と共存できないことを静かに訴えている。被爆者はその精神を伝えないといけない」と原さん。東京での展示会は初めてで、十五、十六日と会場を訪れ、被爆体験と、描き続ける理由を語る。展示会は原爆忌前日の八月五日まで開かれる。(桜井邦彦)
【写真説明】「ドームの心を東京で伝えたい」と意気込む原さん
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