▽厚労省が打診 45分を30分に
八月六日に広島市が政府首脳を招いて開く「被爆者代表から要望を聞く会」について、二つの県被団協はじめ被爆者七団体と市は十日、市役所で会の進め方などを協議した。厚生労働省が、従来の四十五分間を三十分に短縮してほしいと打診してきたことが明らかにされ、被爆者団体から異論が相次いだ。四年続けて欠席している小泉純一郎首相の出席を求める声も出た。(宮崎智三)
市原爆被害対策部によると、時間短縮要請はここ四年間はなく、理由の説明もなかったという。会合では、市が厚労省の打診に対して、「非常に難しい、と答えた」と説明し、意見を求めた。
広島県朝鮮人被爆者協議会の李実根会長は、昨年は尾辻秀久厚労相が「時間が短い」として広島を後日再訪したことにも触れ、「時間短縮は、被爆者の悲しみやつらさに思いをはせない人の考え」と批判。国が起こした戦争で被爆者が生まれた責任を考えるよう訴えた。
県被団協の坪井直理事長も「核兵器の問題がおろそかにされていると痛切に感じる」と強く反発。最低でも昨年と同じ四十五分間の確保を求めていくことにした。
国の出席者は今のところ未定。市は小泉首相と川崎二郎厚労相、麻生太郎外相の出席を要望している。小泉首相については、坪井理事長が「(訪米して)プレスリー宅を訪れるのもいいが、最後の機会。ぜひ被爆者の声を聞いてほしい」と訴えた。七団体で出席を求める要望書の提出も検討するという。
各団体は、国家補償の精神に基づく被爆者援護法の改正▽海外からの被爆者健康手帳の取得申請はじめ在外被爆者の援護措置拡充▽認識の甘い核攻撃対処法を盛り込んだ国民保護計画づくりより、核戦争防止に全力を傾ける▽首相の靖国神社参拝取りやめ―などの要望を予定している。
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