中国新聞地域ニュース
在外被爆者援護の拡充に含み 坂口厚労相 '02/8/7


 坂口力厚生労働相は六日、平和記念式典後の記者会見と「被爆者 代表から要望を聞く会」で、本年度から支援事業をスタートさせた 在外被爆者の援護措置について「これで最後ではない」と明言。拡 充に含みを持たせる一方で、現行の支援事業の枠内での対応に理解 を求めた。

 国の在外被爆者支援事業は渡日治療のための渡航や滞在費給付な どを盛り込むが、「不十分」との批判が強い。

 広島市中区のホテルで開かれた「聞く会」には被爆者七団体の代 表が出席し、広島被爆者団体連絡会議の坪井直事務局長代行が「被 爆者はどこの国にいても被爆者。援護法の適用を」と主張。広島県 朝鮮人被爆者協議会の李実根会長は在朝被爆者について「国交がな く渡日治療は事実上、不可能だ。精神的にも、被害国から加害国に 来てお願いする筋合いではない」と病院建設などによる具体的な援 護策を求めた。

 これに対し、坂口厚労相は「国によって違う対応はできない」と 説明。高齢化が進む在外被爆者の渡日の苦労に一定の理解を示した 上で、「おみえになれない時には、それぞれの国に出張し相談を受 けることもできる」と現地での被爆確認証発行や健診が可能なこと を示した。

 このほか、被爆二世、三世への援護充実については「現在、二世 への遺伝的影響はないと結論されているが、高齢化に伴う影響が出 ないか調査継続が必要」との考えを表明。原爆症認定の審査基準が 厳し過ぎるとの批判については「できるだけ緩やかにとの話もあろ うが、原爆放射線と疾病の因果関係は科学的、客観的な認定が必 要。現在、(原爆放射線量推定方式)DS86の改定作業をしてお り、疫学調査の結果などを勘案し決定したい」と述べた。

【写真説明】「被爆者代表から要望を聞く会」で在外被爆者の援護措置について考えを述べる坂口厚労相(左奥)


TOP PAGE | 原爆・平和 Site map | 在外被爆者トップページ | back | next