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| その2 コロンブスの生卵 |   |     ひろったチラシに電話をかけたら、なぞなぞを出前してくれたお兄さん。
  「それではこれで」
  といって帰ろうとした。
  「あ、お金」
  とまおくんがいうと、
  「お金は来週木曜日に。問題がとけなかったらいただきます」
  そう早口にいうと、もうお兄さんはいなくなっていた。
  生まれたときは足がない。次に二本足、最後は四本足。さて、なんだろう。
  「ヒントもらえばよかったな」
  木曜日は、まおくんのお母さんは仕事があって、夕方まで帰ってこない。なかのいい友だちも、みんな木曜日は塾や習い事があって、遊び相手がいない。週一回のぽっかりと空いた時間。まおくんは、じっくりなぞなぞを考えることにした。
  「足がないということは、魚かな。でも、ずっと足は生えない」
  まおくんは、魚に足が生えてくるところを想像してみた。
  「あ、わかった。カエルだ」
  生まれたときはおたまじゃくしで足がなく、それから二本、足が生え、そして二本、手が生えて、カエルになったら四本足。
  やっと次の木曜日になった。玄関のチャイムが鳴った。まおくんはおおいそぎで、ドアを開けた。あのお兄さんがいた。
  「まいどごひいきにしていただいております、なぞなぞ屋です。さて、先週のなぞなぞ、いかがでしたでしょうか」
  「かんたんさ。答えはカエル」
  なぞなぞ屋はちょっとくやしそうな顔になった。
  「それでは次の問題です。卵を立てる方法は?」
  それならコロンブスという人が、とうの昔にやっている。
  「卵のお尻をちょっと割ったら、かんたんにたつよ」
  ところが、なぞなぞ屋はこういった。
  「それはゆで卵の話。生卵だったら、どうかな?」
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