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   その4 ボタン屋さん 
 
 
    かやねずみのちいねずちゃんは、お店をだしました。
  森が、どこもかしこも、きれいに色づいて、実のなる木も、みんな、きまえよく、おいしくじゅくした、木の実をふるまってくれる、秋になったので。
  ちいねずちゃんのおみせは、ボタン屋さんです。
  ボタンはみんな、森のあちこちから、あつめてきた、ちかちかくっつく、草の実です。
  ちいねずちゃんは、歌います。
 「♪いのこずちの、
  ちかちかボタン、かわいいね
  おなもみの、でかボタン、
  かっこいいね。
  森のなかまは、つけましょう
  森のボタンを、つけましょう」
  さあ、おきゃくは、くるかしら。ちいねずちゃんが、うたいながらまっていると、やがて森のむこうから、わいわい、にぎやかな声がきこえてきました。
  のねずみのかぞくです。
  ちいねずちゃんのおみせのまえまでくると、とうさんねずみが、あせをふきふきいいました。
 「やあ、ついたぞ、ボタンやさんだ」
  のねずみのかぞくは、みんな「ばんざーい」といってちいさな手でぱちぱち、はくしゅしました。みんなで十匹。
 「ボタン、くださあい」
 「ぼくも、ボタン。せなかにつけてね」
 「わたしは、おでこに」
  ちいねずちゃんは、うれしくて、でんぐりがえりをしてしまいました。
 「いらっしゃい。ボタンはどれにしましょうか」
  のねずみのおかあさんは、
 「うれしくて、みんな朝から大さわぎ。川をわたるの大変でした」と、にこにこいいました。
  のねずみのかぞくは、おでこやら、ほっぺやら、せなかやら、むねやら、みんなすてきな草の実のボタンをつけて、かえっていきます。
  森のボタンをつけましょう。
  森のボタンは仲間のしるし。
  ちいねずちゃんは、もいちどぐるりん、とでんぐりがえりをしましたよ。
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