子どもたちに紙芝居を実演する清川さん(左)と阿吹さん=撮影・高3 中重彩
紙芝居は保育科を今春卒業した学生六人が卒業制作として七ヶ月かけて作りました。福山市内の保育所や幼稚園などで上演してきました。
被爆したアオギリが主人公です。原爆で傷を負いましたが、翌年、新芽を出しました。そして二世となるこどもの苗木が、世界に広がっていく姿を描いています。卒業生の一人、清川奈那子さん(20)が「原爆は悲惨でした、で終わらせたくなかった」と語るように、復興に励む人たちの姿と重ね合わせています。
紙芝居は、被爆アオギリの苗の植樹に取り組む地元の被爆者、彦坂昭子さん(80)から「子どもとかかわる仕事に就く学生に命の尊さを学び、それを伝えてほしい」という話を受け、制作を決めたそうです。
小さい子にはショッキングでも、被爆の場面をを省かなかったほか、脚本や絵を何度も作り直して細部にこだわった。阿吹良美さん(20)は「子どもに『恐かったけど、命は大切だと思った』と言われ、私たちの思いが届いたと実感できた」と言います。
紙芝居は後輩に引き継がれ、各地で公演される予定です。(高3・中重彩)
「思い出すのもつらい。打ちひしがれました」。入市被爆者の杉谷さんは、無数の遺体が折り重なっていた原爆投下後の光景を、涙ぐみながら振り返ります。戦後は早産や死産を経験。深いショックを受けました。
2003年制作の「あの日」には、平和への願いと、生まれて来ることができなかった命への思いが込められています。被爆建物(広島市南区にあった広島大の木造体育館)の木材8本に、草木染で大人や子どもの姿を描きました。作品は5月、東広島市の広島大に寄贈しました。