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2000/4/22 |
住宅密集地「まさか・・・」 低空飛行の米軍機は「低く飛ぶ訓練」をするだけではない。米軍機の事故報告書から、建物などを目標にした「模擬対地攻撃訓練」を繰り返している実態が明らかになりつつある。 基地問題に取り組む地方議員のネットワーク「リム・ピース」に加わる田村順玄岩国市議が昨年九月、岩国市役所で公表した英文報告書の内容が、四国の自治体関係者に衝撃を与えた。 パイロットが証言
報告書を入手した田村市議らは、緯度・経度の分析から高知県東洋町の四国電力甲浦変電所、愛媛県西条市の同加茂発電所、それに和歌山県印南町内の道路だと突き止めた。いずれも低空飛行のルートとされる「オレンジ・ルート」に沿っていた。 太平洋に面する東洋町では、二年前から米軍機の低空飛行が増えていたが、町はそれほど関心は持たなかった。だが、新聞で田村市議の発表を知り、驚く。町はすぐ政府に中止の要望書を提出。低空飛行の目撃情報を記録し始めた。 甲浦変電所は住宅密集地にある。「まさか、攻撃の目標になっていたとは…。コースの下に学校や保育園もあり、事故でもあれば大惨事になる」と町の片岡芳則総務課長。町の米軍機の目撃記録は三月までの半年間足らずで、六十六回に達する。 政府も存在認める 石鎚山系に囲まれた西条市南部の山あい。加茂発電所は、二十人が住む集落の近くにある、小さな水力発電所だった。事故報告書を受け、調査した西条市職労の横井幸男委員長は「山すれすれに飛行機が飛び、テレビの音もかき消されるような低空飛行が住民に目撃されていた」。ここでも「攻撃目標」であるとはまったくの寝耳に 水だった。 高知沖事故の翌日に起きた岩手県釜石市の米軍機墜落事故、それに一昨年七月の三沢基地の離陸失敗事故の報告書。いずれも、同じような模擬対地攻撃訓練を計画していたことが読み取れた。政府も昨年十一月の衆院外務委員会で、この訓練の存在を認めている。 今年一月、東洋町と西条市を実際に訪れ、関係者から話を聞いた田村市議は言う。「中国山地のブラウンルートでも、同様の攻撃目標が設定されている可能性は高い。事故が起こってからでは遅い。すぐに訓練を中止すべきだ」
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