核軍縮で活発な討議/京都会議2日目
'99/7/29
京都市で開かれている国連軍縮京都会議は二日目の二十八日、 「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」の報告書について意 見交換した。会議に参加している各国の政府関係者や軍縮専門家の 報告書への関心は高く、時代認識や核軍縮の方法論などをめぐり、 フォーラムの委員と活発な応酬を交わした。
最初に東京フォーラムの一員だった今井隆吉元軍縮大使が経過報 告。「二十一世紀を核兵器廃絶の世紀にするのだ、との情熱を私た ちは共有していた。報告書に盛り込まれた目標を達成することが重 要だ」と強調した。
フォーラムの共同議長を務めた明石康・前広島平和研究所長も 「報告書全体は、米国とロシアの戦略核を千発にする以上の削減を 求めているし、何より私たちは一歩一歩、現実的な手法で廃絶への 道筋を描いた」と明言した。
しかし、インドやパキスタンの参加者からは、各論の部分で疑問 も出た。インドのラマダス提督は「生物・化学兵器に対抗する核の 抑止力をなぜ認めなかったのか。核の傘で保護される国についての 記述もない」。ニューデリー政策研究センターのブラーマ・チェラ ニー教授も「インド、パキスタンに非核兵器国として核拡散防止条 約(NPT)への加盟を求めるのは、論理的に無理があるのではな いか」と指摘した。
パキスタンのシャバーズ外務省軍縮担当局長は「印パ二国間で対 立が続くカシミールの領有権問題は国際社会が解決すべきだ。そう 提言してほしかった」
一方、オーストラリアのアダム・マッカーシー外務貿易省軍備管 理軍縮課長補佐は「非核兵器国として日本政府がフォーラムを提唱 した意義は大きい。今後問われるのは、実現に向けた国際社会の反 応だ」と期待を込めた。
明石氏は、インドの主張に対して「私たちは核五大国へも非常に 厳しい態度を貫いた」と強調し、カシミール問題については「この 問題を私たちがすぐに解決できると考えるのは愚かな話だ」と答え た。
他の東京フォーラムの委員も「国際情勢が悪化するなかで、実現 可能な提言を試みた」「報告書全体をじっくり読み込んでほしい」 と訴えた。京都会議は二十九日も引き続き核軍縮をめぐる意見交換 を続ける。