'99.5.11 |
NPT会議参加を支援 |
―NGO軍縮委員会は、一九七八年の第一回国連軍縮特別総会(SSDT)がニューヨークの国連本部で開かれた年に誕生したと聞いています。 そう。世界宗教者平和会議の代表だった米国人のホーマー・ジャック氏が創設した。SSDTには世界から多くのNGOの代表が集まった。だれが特別総会の席で発言するかの調整や、「軍縮タイムズ」という新聞を連日発行して会議の詳細な内容を各国代表やNGO参加者らに伝えた。 ―軍縮タイムズは今も発行されていますね。 回数は減ったけど、ジュネーブを含め国連内の軍縮に関するニュースを漏らさず掲載し、国連本部などで無料配布している。多くの国の代表が情報源として本国政府に新聞を送っている。ホームページも開いており、新聞掲載外の情報も得られるようにしている。 ―NGO軍縮委員会は、創設以来、国連と世界のNGOを結びつけているわけですね。 その点が一番重要な部分だ。核拡散防止条約(NPT)見直し会議など、軍縮に関する公的な国連会議へのNGO関係者の参加に便宜を図っている。国連軍縮局と協力して地域戦争防止や宇宙空間の平和利用など時宜を得たテーマでパネル討議も国連内外で開いている。事務所と道路一つ隔てた国連には、私自身も含めメンバーが頻繁に足を運び、各国の軍縮担当者へのロビー活動にも力を入れている。 ―九五年に決まったNPT無期限延長に対する見直し会議が、来春開かれます。見通しはどうですか。 率直に言って非常に暗い。核軍縮を進めるには、何よりもNPTが認める核保有五カ国の姿勢が問題だ。しかし、米ロ英仏中とも熱意が見られない。米国の国連代表らは、核軍縮に関するあらゆる議論を阻止していると見られることにフラストレーションすら覚えている。 政治状況影落す ―昨年五月のインド、パキスタンの核実験から北大西洋条約機構(NATO)によるユーゴスラビアへの空爆に至る一連の政治状況が影を落としているわけですね。 NATOの拡大や空爆にロシアは怒り、インドのミサイル実験や米国のミサイル防衛構想に中国は警戒を強めている。逆に米国では、中国が米の核技術を盗んだとの理由などから、議会を中心に反中国感情が広まっている。五カ国だけを見ると、軍縮促進にはマイナス要因ばかりが目立つ。 ―核軍縮を進めるには、非核国政府やNGOなどに参加する自覚した世界の市民の力を結集するしかないのでしょうか。 今はそこに期待するしかない。対人地雷禁止条約がカナダなど軍縮に積極的な政府と世界のNGOの協力で実現したように、知恵を出し合いながら核保有国に軍縮を迫ることだ。その意味で、世界のNGO関係者らがオランダに参集して開く「ハーグ平和アピール1999」(五月十一日〜十五日)が重要な意味を持つ。私も参加する。そこでの熱気をさらに高めて、来春のNPT見直し会議に向け、国連へ届けなければならない。 被爆地努力継続を ―ヒロシマ・ナガサキへの注文や期待は? SSDT以来、両市の市長が国連で発言する機会を設けるなど関係は深い。被爆地からのメッセージが国連などを通じて世界に届き、核の脅威に世界の人々が目覚めるよう努力を続けてほしい。われわれも協力を惜しまない。
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