▽オケと合唱 詩を歌に
「原爆詩集」で知られる詩人峠三吉が亡くなった東広島市西条町寺家の東広島医療センターで6日、原爆被災者追悼コンサートがある。市内のCHC音楽教室代表有谿英彰さん(51)が、「峠ゆかりの地で、原爆への怒りを音楽で表現したい」と企画。地元のオーケストラと合唱団の計8グループが参加し、峠の詩を力強く歌い上げる。(治徳貴子)
広島市の爆心地から三キロの地点で被爆した峠は一九四八年から五三年まで計三回、センターの前身の国立広島療養所に入院。原爆詩集をまとめたり、入院患者の文芸グループを指導したりした。五三年、肺の手術中に三十六歳で亡くなった。
コンサートには、広島大グリークラブや高屋幼稚園コーロ・セシリアなど六つの合唱団と、東広島ウィンドアンサンブルなど二つのオーケストラが出演。原爆詩集の中の「ちちをかえせ」で始まる「序」と、被爆した女学生を描いた「仮繃帯(ほうたい)所にて」を歌にして披露する。作曲は、有谿さんが担当した。
当日は、入院中の峠が兄と姉にあてて原稿用紙に書いた手紙や、手術前の落ち着いた気持ちを記した日記など約二十点も玄関ホールに展示する。
コンサートは、峠と同センターの関係を知った有谿さんが計画。同センターや合唱団などに協力を求めて実現した。有谿さんは「人権を踏みにじる核兵器の悲惨さを峠は訴えた。思いをくみ取り、被爆者を追悼してほしい」と話している。
コンサートは午後三時から一時間程度、研修棟大会議室で主に入院患者と通院者を対象に開く。無料。同センターTel082(423)2176。
【写真説明】コンサートに備え、練習するCHC音楽教室弦楽合奏団と東広島ウィンドアンサンブルのメンバー
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