広島大大学院で東洋史を学ぶ中国人留学生、岳迅飛さん(31)=東広島市=は時々、祖国から広島市平和記念公園を訪れる人々の案内に立つ。 原爆慰霊碑では、主語のない碑文「過ちは繰返しませぬから」について、自分流の解釈を伝える。「アジア侵略に対する日本人の反省であり、戦争を繰り返してはならないという全人類の誓いでもある」 そんな説明に一度だけ、不平を鳴らす同胞がいた。「加害者の日本が、全人類を背負って言うのはおかしい…」 広島で被爆者の声に耳を傾けてきた岳さんは、そんな反応に動じない。「広島はもっと、アジアに核兵器廃絶や世界平和を訴えるべきです。侵略の引け目で口ごもる必要はありません」
「留学生は、ヒロシマの心を伝えるメッセンジャー。もっと被爆学習の機会をつくり、育ててほしい」。帰国後、教員志望の学生にヒロシマ体験を伝えるつもりだ。
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