ホチキスで羽を留めた折り鶴が十四羽。どれも、横文字で「祈り」が書き込んである。一つ、折り目のほどけた鶴のメッセージが読めた。 〈神よ 9・11テロで亡くなった人、戦争で亡くなった人すべてに哀悼をささげます 戦争が終わり、いさかいがなくなるように…〉 南半球のオーストラリアのカトリック系大学から届いた鶴だった。 広島市中区の旧日銀広島支店には、この一年間に平和記念公園の原爆の子の像に届いた折り鶴が展示してある。約一千万羽に上る束には、海外から寄せられたものも珍しくない。昨年は、世界の四十六カ国から集まった。 〈千羽は、中東の子どもたちに。もう千羽は、病にあえぐアフリカの子どもたちに…〉〈私たちの国コロンビアに、平和が来るように手助けしてください〉
平和への祈りを乗せ、世界中から鶴が、ヒロシマの地に集まり続ける。
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