広島は六日、原爆投下から五十六周年の原爆の日を迎えた。新世
紀になって最初の原爆死没者追悼慰霊式・平和祈念式(平和記念式
典)は午前八時から中区の平和記念公園で開かれる。被爆者や遺族
代表らが二十二万人余りの原爆犠牲者を追悼し、核兵器廃絶への決
意を新たにする。
式典では、秋葉忠利市長と遺族代表二人が原爆死没者名簿を原爆
慰霊碑に奉納する。この一年間に亡くなったり、死亡が確認された
のは四千七百五十七人。名簿登載者の総数は二十二万人を超え、二
十二万千八百九十三人になった。
四十道府県の遺族代表や被爆者代表に続き、小泉純一郎首相、井
上裕参院議長、坂口力厚生労働相、世界平和連帯都市市長会議の代
表らが慰霊碑に献花。在日本大韓民国民団(民団)広島県地方本部
と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)広島県本部の代表が「ワンコ
リア」として初めて合同で献花する。
原爆投下の八時十五分、遺族代表の安佐北区の古井寿子さん(40)
と、こども代表の三入小六年灰野貴雄君(11)が「平和の鐘」を打ち
鳴らすのを合図に参列者全員が一分間黙とうする。
この後、秋葉市長が「二十一世紀を核兵器のない、『平和と人道
の世紀』にするため全力を尽くす」と平和宣言。「被爆者の記憶を
若い世代に伝えることこそ人類が二十一世紀を生き延びる第一歩」
と世界に訴える。
こども代表の矢野西小六年畠山康成君(11)と、段原小六年藤森優
香さん(11)が「平和への誓い」を読み上げた後、小泉首相と、藤田
雄山広島県知事があいさつ。二歳の時に広島市で被爆した国連の大
島賢三事務次長が、アナン事務総長のメッセージを代読する。
今年の式典は、被爆者の高齢化に配慮し、来賓あいさつを少なく
するなどして例年より十三分間短縮。四十五分間となる。会場には
初めて車いすと介助ボランティアを配置。暑さ対策に着帽や飲み物
の持ち込みも呼び掛ける。
【写真説明】21世紀最初の原爆の日を前に、原爆慰霊碑を訪れる人の列は夜遅くまで続いた(午後8時、広島市の平和記念公園)
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