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原爆短歌を海外へ発信 360首を英訳出版 '01/8/4

 被爆体験をもとに反戦平和を詠み続ける歌人近藤幸子さん(79)= 広島市西区己斐上=の歌集の英訳冊子が出版された。大阪の英語研 究者らが四行詩集に翻訳した。原爆をテーマにした俳句の英訳はこ れまであったが、短歌英訳の試みは珍しい。

 近藤さんは爆心から約三キロの己斐の自宅の畑で被爆。戦後、病 気に苦しみながら農作業を続け、三人の子を育て上げた。一九六〇 年から歌を詠み始め、広島の同人誌「青史」に参加。主婦として生 活の視点から原爆犠牲者への鎮魂、核への不安などをテーマにこつ こつと歌作りを続けてきた。

 今回の英訳は、大阪市内に住む近藤さんの親類を通じて作品を知 った近畿大非常勤講師生駒和子さん(60)が発案。既に出版された歌 集「閃光の丘から」(七三年)と「続・閃光の丘から」(九九年) の中で三百六十首を選び、イギリス人の友人の協力で冊子「FRO M THE HILL OF FLASH」(A5判百二十ページ)の自 費出版にこぎつけた。

 原爆をテーマにした俳句の英訳は例があるが、三十一文字の短歌 は文意と情緒を損なわず翻訳することが難しかった。今回は伝統的 な四行詩の様式で、詩的なイメージを強調することができた。

 「面はゆい気持ちもあるが、広島を訪れる海外の方に読んでほし い」と近藤さん。三百部発行。原爆資料館売店で販売している。


 ≪英訳短歌に収められた2首≫

 How cursed our human history

Ashura leads a funeral cortege

From Hiroshima

Ground Zero

 (呪うべき人の世の歴史ヒロシマのゼロの地点に阿修羅の葬列)

Lanterns gathering

And then they part

The loneliness of this river

Upon August 6th

 (灯篭の相寄り別れ流れゆく川面のさみし八月六日)

【写真説明】出版された近藤さんの英訳歌集


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