原爆の悲劇と平和の尊さを訴えるため全国の街頭で実演されてき
た紙芝居「平和への祈り」が、ビデオ化された。東京都の出版社・
大空社が、紙芝居の保存普及事業の一環として作った。
ビデオは、全二巻計九十分で、全三十回(三百三十場面)を収
録。原爆で家族などを失った小学生の主人公「光子」の生きる姿を
通して、原爆がもたらした被害や、後遺症など苦しみの大きさを描
いている。実演は、紙芝居の所有者である紙芝居師永田為春さん
(73)=東京都江戸川区。
「平和への祈り」は、一九五〇年ごろに東京で作られたとみられ
ているが、作者など詳しいことは分かっていない。永田さんによる
と、「黄金バット」など娯楽作品が人気を集める街頭紙芝居の中
で、原爆をテーマにした紙芝居は異色という。
永田さんは「原爆を知る機会の少ない全国の子どもたちが、追体
験できる貴重な資料。親子や学校で学んでほしい」と話している。
第二回(十一場面)の複製紙芝居などとセットで二万二千円(税
別)。大空社、電話03(3902)2731。
【写真説明】完成した紙芝居ビデオ「平和への祈り」全2巻と、複製した紙芝居
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