広島の元アナウンサーたちが朗読グループ「ひろしま音読の会」
(佐々木正江代表)を結成し、被爆者の手記や詩で構成する朗読劇
「この子たちの夏」の練習に取り組んでいる。八月二十六日午後六
時半から南区民文化センターで初公演する。
メンバーは広島市内の三十〜六十歳代の女性十人。育児や結婚な
どを機にアナウンサーを引退した後も、朗読ボランティアなどの活
動を続けている人が多い。フリーアナウンサーの佐々木さん(65)=
東区=が呼び掛けて昨年十月に発足。月に二、三回、原民喜の「夏
の花」や、各自が選んだエッセイなどの朗読をしている。
「この子たちの夏」は、東京の演出家木村光一さんが、広島、長
崎の被爆者の手記や散文などを基に構成。脚本が各地で読み継がれ
ている。音読の会の公演では、峠三吉や大平数子らの原爆詩や広島
の被爆者の手記を中心に約一時間にまとめる。
「朗読には、聞き手の想像力をかきたてる魅力がある」と呼び掛
け人の一人、増田聿子さん(63)=西区。練習では、メンバーがお互
いの読み方やアクセントを批評し合う。
東京大空襲を逃れて鳥取県名和町に家族疎開していた中区の藤本
佳子さん(65)は「自分にできる方法で、戦争や被爆体験の風化を防
ぎたい」。現役の民放アナウンサー三上絵里さん(31)は「原爆詩の
朗読に興味があった。ニュース原稿とは違う言葉の重みを表現した
い」と話していた。
公演は入場無料。
【写真説明】朗読劇「この子たちの夏」の練習に取り組む元アナウンサーたち
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