原爆の日控え広島市内で多彩な催し
'00/7/31
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被爆五十五周年の「原爆の日」を前に三十日、広島市内で、原爆 の犠牲者を悼む慰霊祭や平和について考えるシンポジウム、パネル ディスカッションが開かれた。
段原中学校では慰霊祭
段原中学校(南区段原山崎町、山根俊亮校長)では、前身の旧市 立第一国民学校の原爆死没者慰霊祭があり、卒業生たち約九十人が 出席した。
正門横の慰霊碑を前に、慰霊碑建設委員会の戸井五郎会長が「生 徒たちは、原爆で一瞬にして残酷で悲惨な地獄に突き落とされた。 被爆者の老齢化が進んでおり、一日も早く核兵器をなくしてほし い」と訴えた。この後、犠牲者のめい福を祈って黙とう。出席者た ちは慰霊碑に花を供え、両手を合わせていた。
第一国民学校では、原爆で建物疎開の作業に向かう途中だった生 徒四十九人と教諭一人が死亡した。当時の教諭や卒業生たちが中心 となり、一九九〇年に慰霊碑を建立。毎年、慰霊祭を開いている。
市民ら平和について討論
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平和について考えるイベント「語り合ってみませんか わたしの ヒロシマ―世代を超えて」が、中区の市婦人教育会館であった。被 爆五十五周年を控え、広島YWCAヒロシマプログラム実行委員会 (難波郁江委員長)が若い世代に関心を持ってもらおうと企画し た。
市民ら約百人が参加。広島YWCAの朗読グループが子供たちの 被爆の様子をつづった朗読劇「この子たちの夏」を演じ、広島文化 短大音楽科の益田遙教授が「人間をかえせ」など五曲を独唱した。
続いて、「わたしのヒロシマ」をテーマに、ボランティア活動や 平和運動に取り組む二十歳代の女性四人がパネルディスカッショ ン。「小・中学生での平和学習は、面倒だと思うこともあったが、 大人になり歴史を実感できるようになって、平和の大切さが分か る」などと語った。
平和フォーラムに100人
シンポジウムなどで平和の尊さを考える「2000年金光教平和 フォーラムinヒロシマ」(同実行委員会主催)が、中区の広島国 際会議場であった。今年で五回目になるフォーラムには、全国から 信者ら約四百人が参加した。
「平和を生み出すいのちの語り部たち」をテーマにしたシンポで は、太平洋戦争末期の沖縄戦で犠牲になった人たちの遺骨収集に参 加した才田孝夫・福岡大非常勤講師(65)ら三人が、それぞれの体験 談を披露。才田さんは「人間が人間らしく生きるためには、平和で あることの環境づくりが大切」などと訴えた。
参加者の岡山県浅口郡金光町、金光学院生金光浩明さん(24)は 「もっと原爆について知り、次の世代に伝えなければいけないこと を実感した」と話していた。
【写真説明】(写真左)花を添えて犠牲者のめい福を祈る第一国民学校の卒業生たち(写真右)「私のヒロシマ」をテーマに話し合うパネリストたち(広島市中区の市婦人教育会館)
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