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   4 カタヅケラレナイ星へ 
 
 
 
  
  「私たちは、『カタヅケラレナイ星』に脱出できる日を待っていたのです。ごらんのとおり、私たちはいつも片付けられています。ぎゅうぎゅうづめに押し込まれ、外に出ることもなく、無理やり眠らされています。こんな暮らしはもういやです。『カタヅケラレナイ星』で、自分らしく生き生きと暮らしたいのです。ひろし君、私たちを連れて行ってください」
  ぼくはもっと驚いた。
  「ぼくにそんな事できないよ」
  「ひろし君にはできますよ。だってあなたはいつも『片付けられない』じゃありませんか」
  ぼくは目をパチクリさせた。
  「だ、だって…カタヅケラレナイ星がどこにあるのか、どうやって行くのかわからないよ」
  「誰にもわかりません。でも、探しにでかけなければ、見つかりませんよ。幸運なことに、ほら、乗り物もそろいました」
  男の人はぼくの足もとのそうじきを見た。赤くて先のとがったなが丸の形をしたそうじき。ぼくがまだ小さいころから家にあるそうじきだった。
  これが…ぼくは首をかしげた。「わかりませんか? ほら、こうですよ」赤いそうじきは、ホースがついている方を上にして起き上がると、ぐんぐん大きくなってロケットになった。
  「そうじきがロケットになるなんてすごい!」
  ぼくは楽しくなった。あんまり楽しくて、前にも見たような気さえしてきた。ぼくはさっそく操縦席にすわった。ナビゲーターはファミコン、ハンドルはおもちゃだ。でもぼくは、心配なんかしなかった。
  「大丈夫。心配ないよ」
  ロケットが、そう言ってくれているような気がしたんだ。
  おもちゃたちは、続々と乗り込んでくる。こんなにたくさんのおもちゃたちを、全部乗せることができるなんて、不思議なロケットだ。
  副操縦席には、四角な男の人がすわった。
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