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   2 かたづけひろしの正体は? 
 
 
   「君、片付け上手だね。おかげで助かったよ」
  すると、かたづけひろしは首を横にふった。
 「まださ。もうひとつ」
  そう言いながら、ニカッと笑ってぼくを見つめた。目の玉が緑色に光っている。ぼくは身ぶるいした。体がスーッと縮んでいく。どうなったんだ。逃げようとしてもカチカチに固まって動けない。
 「これも片付けなくちゃね」
  ぼくはおもちゃ箱に片付けられてしまった。
  タタタタタッ。かあさんの足音だ。かたづけひろしは、あわててぼくを怪獣の下にかくした。
  かあさんは驚いた。部屋がきれいに片付いていたから。いつもは相変わらず散らかったままで、お説教の続きが始まるんだ。
 「ひろし、どうしたの?」
 「どうしたのって、かあさん片付けなさいって言ったじゃないか。だから片付けたんだよ。」
 「そうだけど、何だか、人が変わったみたい」
 「そうだよ。ぼくはかたづけひろしだからね。このおもちゃ箱も押し入れに片付けるね」
  かたづけひろしはそう言うと、おもちゃ箱をかかえて押し入れに入れた。
 「今までの散らかしひろしとは大違いだわ」
  かあさんはうっとりした声で言うと部屋を出て行きまたすぐに入ってきた。
 「ついでにそうじきかけちゃお」
 「そ、そうじきはかけなくていいよ」。かたづけひろしが、うわずった声で言った。
 「だめだめ、何日もそうじしていないから、きっとほこりがいっぱいだわ」
  「じゃあぼくがかけるよ。ここは、ぼくの部屋だから」。かあさんを部屋から押し出すと、かたづけひろしはぶるるっと身ぶるいした。
 「危なかった。そうじきはこわい。こんなものは、押し入れに片付けてしまおう。」
  おもちゃ箱の横にそうじきを片付けると、押し入れをしめて部屋から出て行った。
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