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ブラジルの被爆者の願いや望郷の念がこもる
平和祈念碑 |
望郷遠い海を越え
広島市中区加古町 高さ約2メートル、最大幅約1.6メートル 「祈平和 BRASIL」。ブラジルの国土を型どった黒御影石の碑は、広島厚生年金会館の西、本川のほとりにたたずむ。南米の大国に生きる被爆者の願いがこもる。
被爆後、新天地を求めて移住した一家もある。国内に身寄りを亡くし、南米の肉親を追った人もいる。広島県の調べでは、1998(平成十)年の時点でブラジルに住む被爆者は百六十人にのぼる。
昨年十月、サンパウロで被爆者を診察した広島赤十字・原爆病院(中区)の大田典也副院長(61)は「みんな自分の住んでいた町がどうなっているかと…」。五十年余りたっても消えぬ望郷の念を代弁する。
その思いが海を越えたのは九年前。ブラジルの広島、長崎県人会などが募金し碑を造り、広島市に送った。碑建立の年から、毎年数人の在南米被爆者が広島市で検査、治療を受けられるようになった。
訪れる人はまばらと思われる、ひっそりとした風情。しかし、夕刻を迎えると、周囲のともしびを碑は人知れず映し出す。
広島市中区加古町 [高さ約2メートル、最大幅約1.6メートル] |
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