広島などで雨つき座り込み

'98/5/13

 

 インドが二十四年ぶりに強行した地下核実験に対し、広島市中区 の平和記念公園では十二日、怒りの座り込みや集会が繰り広げられ た。核兵器廃絶の国際世論が強まる中での暴挙に、中国地方でも抗 議行動が相次いだ。

 広島県被団協(伊藤サカエ理事長)や連合広島、同県原水禁など 十三団体の約九十人は午後六時から、強い雨が降りしきる中、原爆 慰霊碑前に座り込んだ。

 「ヒロシマからすべての核実験に強く抗議する」と書かれた横断 幕を掲げ、約二十分間抗議。昨年十一月、インドを訪れて市民団体 と交流した坪井直事務局長は「インドの民衆はヒロシマの訴えを受 け止めていた。一部政治家の手で、核軍縮の流れが止まる事態だけ は避けなければならない」と語気を強めた。

 もう一つの広島県被団協(金子一士理事長)や同県原水協など八 団体も、午後零時十五分から原爆慰霊碑前で座り込みをした。

 被爆者ら約六十人は慰霊碑に黙とうし、県原水協の藤田厚吉代表 理事が「核軍拡競争が再燃しかねない。核大国の責任は大きいが、 いかなる核実験も許せない」と訴えた。

 また、市民グループ「ヒロシマ・平和のリボンの会」(渡辺美代 子代表)のメンバー五人も正午すぎ、原爆慰霊碑前に集まり、修学 旅行生とともに「核実験はやめよう」と書かれたリボン(縦五十 センチ、横一メートル)を掲げた。

 突然の実験強行は各地の平和団体にも大きな衝撃を与えた。広島 県双三郡三良坂町の平和を願う会(会長・湯免龍夫町長)は町内の 平和公園で緊急の抗議集会を開催。参加した町民約六十人の代表が 「今後の核実験を一切中止するよう強く求める」との抗議文を読み 上げ、インド政府を非難した。

 山口県原爆被害者団体協議会と同県原爆被爆者福祉会館「ゆだ 苑」は「核廃絶運動を踏みにじる暴挙」との抗議電報をインド大使 館に送付。岡山の平和団体でつくる「核実験座り込み行動岡山市民 の会」や、福山市、広島県高田郡甲田町の各職員労組も、それぞれ 抗議の座り込みをした。

 一方、松江市内で開かれていた原子力関係者による日独核エネル ギー専門家会議(日本原子力会議主催)は地下核実験に対し、「強 く憂慮する」とする日独共同議長声明を発表した。

【写真説明】強い雨の中、インドの地下核実験に抗議して原爆慰霊碑前に座り込む被爆者たち


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