政府、インドの核実験で制裁表明へ
'98/5/13
政府は十二日、インドの地下核実験に対する強い抗議の意思を表 明するため、橋本竜太郎首相が十五日から英国で開かれる主要国首 脳会議(バーミンガム・サミット)で「唯一の被爆国」として、経 済協力の一時凍結を含む日本の方針を表明する。さらにサミット参 加国に多国間援助見直しを検討課題として提起するほか、核拡散防 止問題に共同して取り組むよう呼び掛ける方針を固めた。(共同)
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▽広島市長、広島県知事らも抗議文
インドが強行した地下核実験に対し、平岡敬広島市長と藤田雄山 広島県知事は十二日、核開発競争の再燃を危ぐする抗議文をバジパ イ首相と在日インド大使館に送った。
平岡市長は抗議文で「インド国内で原爆展を開催し、大きな反響 があっただけに誠に遺憾」と指摘。これまで核兵器廃絶に積極姿勢 を見せていたインド政府の政策転換に対して「アジアの緊張が高ま り、核開発競争が再燃する危険性がある。核兵器のない世界を求め る国際世論に耳を傾けてもらいたい」と求めた。
藤田知事は檜山俊宏県議会議長との連名で「核軍縮が国際社会の 大きな潮流になろうとする中、再び世界の核兵器開発競争を誘発し かねない」と抗議。直ちに実験を中止し、核兵器廃絶への努力を要 請した。
世界百カ国・地域の四百五十六都市が加盟する世界平和連帯都市 市長会議(会長・平岡市長)も「パキスタンなど近隣諸国を刺激 し、核拡散防止条約(NPT)体制が崩壊する。武力に頼らない平 和外交を貫いてほしい」との抗議文をバジパイ首相に郵送した。